強姦:28歳男性に逆転無罪 「義足で不可能」福岡高裁

Rape Case: Conviction overturned for 28 year old with "artificial leg."


毎日新聞 20121031日 1220分(最終更新 1031日 1258分)
 女性を車に押し込んで性的暴行を加えたとして強姦(ごうかん)罪に問われた福岡県飯塚市の会社員、北代貴之被告(28)に対する差し戻し控訴審が31日、福岡高裁であった。陶山博生(すやま・ひろお)裁判長は、求刑通り懲役3年6月とした差し戻し審の福岡地裁判決を破棄し、無罪を言い渡した。陶山裁判長は「義足を装着した被告が車内で事件を起こすことは物理的に不可能」と述べた。

 北代被告は、飯塚市内に止めた車内の後部座席に当時14歳の少女を押し込んで性的暴行をしたとして、08年3月に起訴された。北代被告は無罪を主張したが1審・福岡地裁飯塚支部は懲役3年6月の有罪判決とした。福岡高裁は10年7月、「義足を装着しての犯行が可能か検証が必要」として審理を差し戻したが、福岡地裁が今年1月、検証の結果、再び有罪と判断していた。

 地裁の検証では、前方の座席位置を最も後ろにする設定では、前の座席が邪魔で犯行が不可能だったが、座席位置を約10センチ前にずらすと犯行は可能になった。

 差し戻し控訴審は1回目の控訴審と同じ陶山裁判長が担当し、この検証結果について再度検討。事件当時の座席位置を、関係者の供述などから、「最後部だった」と認定したうえで、「差し戻し審は座席位置の前提事実を誤った」とし、「位置を変更する前の結果によれば、犯行は不可能」と結論付けた。
 福岡高検の土持(つちもち)敏裕次席検事は「判決文をよく検討し、今後の対応を決定したい」とコメントした。【遠藤孝康】