Iranian Defendant: Not Guilty of Smuggling Saiban-in Ltd Jury System 2011/01/29 Not Guilty Decision Later Overturned 2012/03/02

覚醒剤密輸:裁判員の無罪判決を破棄、差し戻し大阪高裁 毎日新聞 201232日 2205分(最終更新 33日 041分)  別の男に指示し覚醒剤の密輸を主導したなどとして覚せい剤取締法違反などの罪に問われたイラン国籍のアブディ・スマイル被告(43)の控訴審で、大阪高裁は2日、1審・大阪地裁の裁判員裁判の無罪判決(求刑懲役18年、罰金800万円)を破棄し、審理を差し戻す判決を言い渡した。松本芳希裁判長(異動のため米山正明裁判長代読)は「客観証拠を見れば被告が別の男らと共謀したと認められる」と述べた。弁護側は上告する方針。  最高裁は先月、別の覚醒剤密輸事件の判決で、「控訴審は事後審に徹するべきで、特に裁判員裁判の1審判決を破棄するには論理則や経験則に照らして不合理だと示す必要がある」との初判断を示した。高裁はこれを踏まえ「1審判断は経験則に照らして明らかに不合理だ」と言及した。  1審判決は、被告の指示を受けたとされる男の供述が携帯電話の通話記録と合致しないとして信用性を否定した。しかし、高裁は「(通話記録は)覚醒剤の受け渡し時期に集中し、通話の多くが密輸入に関する内容だったと強く推認される」と指摘。男の供述の信用性は高いと判断した。被告以外の関与が疑われるという1審判決の指摘についても「あまりにも(論理の)飛躍がある」と一蹴した。  被告は他の4人と共謀し、09年に営利目的で覚醒剤4キロをトルコから関西国際空港へ密輸しようとしたとして起訴された。【村松洋】  ◇控訴審の在り方・最高裁が示した後では初  裁判員裁判の無罪判決が控訴審で破棄、差し戻されたのは、最高裁が先月、控訴審の在り方に初判断を示した後では今回の大阪高裁判決が初めてだった。  高裁判決は最高裁の判断を引用しながらも、客観証拠の通話記録などから被告の関与は強く推認でき、1審の事実誤認は明らかと指摘。差し戻す理由については「事実認定や量刑判断に国民の意見を反映させるという裁判員制度の趣旨を鑑みれば、高裁が自ら量刑などを判断せず、再度裁判員を含めた合議体に判断を委ねるのが相当」と述べた。  これに対し、弁護側は記者会見で「高裁は被告や証人から直接話を聞かず、書面だけで判断した」と指摘し「裁判員制度の趣旨に逆行する」と批判した。 毎日新聞 201232日 2205分(最終更新 33日 041分)
(No English Media Coverage) Summary: Prosecution called for an 18 year sentence and a fine of 8 million yen for Abudei Smairu (spelling?) Fourth complete decision of not guilty since advent of limited jury system. Mainichi Shinbun January 29, 2011 ~~~~~~~~~~~~~~~~~ 裁判員裁判:「覚醒剤密輸を主導」イラン人被告に無罪判決 毎日新聞  2011129日 1102
 仕切り役の男に指示し覚醒剤の密輸を主導したなどとして、覚せい剤取締法違反などに問われたアブディ・スマイル被告(42)=イラン国籍=の裁判員裁判で、大阪地裁は28日、無罪(求刑・懲役18年、罰金800万円)を言い渡した。一連の事件ではアブディ被告は仕切り役の有罪判決の中で、同じ裁判長と別の裁判員から「密輸を主導」と認定されていた。弁護側は「裁判員が証拠に基づいて冷静に判断した結果だと思う。一般市民の常識が反映された」と評価した。  裁判員裁判の全面無罪判決は全国で4件目。樋口裕晃裁判長は「仕切り役に指示をした別の第三者の存在が強くうかがわれ、仕切り役の供述に信用性は高いとはいえない」と理由を述べた。  アブディ被告は仕切り役ら4人と共謀し、09年7月に営利目的で覚醒剤4キロ入りのスーツケースをトルコから関西国際空港へ密輸しようとしたとして起訴された。初公判で「私は全く無関係だ」と述べて、無罪を主張していた。  判決後、裁判員経験者4人が会見し、無罪判決について「一人一人が真剣に評議した結果だった」と口をそろえた。「アブディ被告が密輸の首謀者」と、仕切り役の裁判で認定されていた点については、4人全員が「知らなかった」と答え、評議への影響はなかったと述べた。  判決では、密輸の計画に第三者が存在する疑いを指摘した。大阪府交野市の男性会社員(54)は「4キロもの覚醒剤が密輸された事件。警察や検察が今後も捜査するならお願いしたい」と、捜査の継続を要望した。【苅田伸宏、村松洋